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TM-411とは

本薬剤は、平成17年4月、東光薬品工業株式会社が、急性前骨髄球性白血病(APL)に対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として日本国内の製造販売承認を受け、上市しております。

当社は、平成16年2月に東光薬品工業株式会社および乙卯研究所より日本および海外における抗悪性腫瘍薬としての独占的開発権並びに販売権を取得いたしました。

本薬剤は、合成レチノイン酸誘導体で、核内受容体のレチノイン酸受容体(RARα)に強く結合して、がんの増殖因子の遺伝子発現の抑制およびがんの増殖に不可欠な血管新生を抑制する効果を有しています。

TM-411(nsclc)

抗腫瘍剤を投与すると骨髄抑制作用により血液中の好中球数は減少し、好中球数500個/μL以下で感染症を起こしやすくなり、100個/μL以下になると発熱を伴う好中球減少症(NP)から感染死を伴う重篤な副作用を引き起します。

TM-411は骨髄中の造血幹細胞のCAK-RARα※に作用することにより、前駆細胞を経て好中球への分化促進、顆粒形成、活性酸素種を誘導し、抗菌活性を示します。

現在、NPに対して臨床の場ではG-CSF製剤のみが使用されていますが、単独では、好中球数の増加は認められるものの抗菌活性等の機能は未熟な状態であります。 分化促進作用を有するTM-411とG-CSF製剤を併用することによりNPに対する相乗効果が期待されています。

※CAK:Cyclin-dependent kinase-activating kinase

TM-411(NP) 作用機序

TM-411(NP) 作用機序

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◆TM-411(APL)

レチノイン酸およびRARαは正常な血球分化に必須です。急性前骨髄球性白血病(APL)は、染色体転座(染色体の一部がちぎれて、または全部が他の染色体に結合した状態)によって、RARαはつくられずに正常細胞には存在しないPML-RARα融合蛋白が産生されます。

この融合蛋白はレチノイン酸に対する親和性が低く生理的濃度ではレチノイン酸は融合蛋白に十分に結合できずRARα本来の機能が抑制され、結果的には分化制御、細胞増殖亢進状態が誘導されます。TM-411は、この融合蛋白中のRARα部分と強力に結合し、APLの分化を誘導し最終的には細胞死に至らせるものと考えられています。

TM-411(APL) 作用機序

TM-411(APL) 作用機序

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TM-411(HCC)

肝細胞がん(HCC)では細胞増殖に関与するIL-6やIGF(Insulin Like Growth Factor)の産生が亢進し、また典型的な血管新生を伴っています。

本薬剤は肝細胞がんに高発現しているRARαを介して、肝細胞がんの増殖因子であるIL−6や血管新生因子のVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)のシグナル伝達を阻害し、またIGF抑制因子の産生を増強することにより抗がん作用を発揮するものと考えられます。

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